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21世紀もCOBOLの時代

内田正章(富士通 ミドルウェアソリューション事業部)

 COBOLは、1960年に誕生して以来、業務システム構築における主力言語の座を占めてきた。しかし、40年という長い歴史を持つがゆえに、COBOLに対して、漠然と「古い・重い・オープンでない」というイメージを抱く人も少なくないようだ。たしかに、COBOLという言語について言えば、時代に合わせて進化を遂げてはきたが、その基本的な構造はこの40年のあいだ変わっていない。この点が、資産を長期にわたって蓄積できるメリットを与えている一方で、非近代的なイメージをもたらしているのではないかと思う。

 しかし、COBOLツール(コンパイラなど、開発/実行のための関連製品)そのものに目を転じると、目覚ましい発展を遂げているのが実態だ。たとえば、インターネット環境への対応について見てみると、どのベンダのCOBOLツールもWebブラウザとの会話を可能としており、インターネット環境での業務アプリケーションをCOBOLで構築することができるようになっている。また、インターネットの延長線上に位置する分散コンピューティング環境やXMLといった新しい技術も、COBOLプログラムで扱えるよう、COBOLツールの強化が着々と進んでいる。

 新しい環境や技術への対応と言っても、プログラムの大部分はいわゆるビジネスロジックが占める。ここはCOBOLが最も得意とする領域であり、COBOL活用のメリットは大きい。また、各種環境との整合は、READ/WRITEやCALLなどのようなCOBOLの文によって実現されるので、全体としても扱い易い。また、COBOLツールは開発環境としての機能性が時とともに進展しており、COBOL技術者はますます効率よく快適に作業が行えるようになっている。

 実際、インターネットアプリケーション全体をCOBOLで構築する事例が数多く存在する。既存の業務アプリケーションを流用開発してプログラム資産を有効に活用するケース、COBOLの人的資産を活用して新規に開発するケースなど様々である。

 ところで、Javaはインターネット用の言語として認知されつつある。業務アプリケーション全体をCOBOLで構築する場合がある一方で、一部にJavaを適用する場合も存在する。JavaとCOBOLを併用する必要がある場合に対して、各ベンダのCOBOLツールともJavaとの連携を強化しつつあり、柔軟なシステム構築を可能にしている。このように、COBOLは常に時代の流れを捉えている。

 世はまさにインターネット時代であり、インターネットを活用していかに業務を効率化するか/いかにビジネスを拡大するかが各企業の重要案件である。インターネットビジネスは、今後一層の発展が見込まれるが、人材不足が重要課題であると聞く。長い歴史を持つCOBOLには、性能・品質・保守性を向上させるノウハウや開発標準が 蓄積されている。また、Y2K問題の対応/確認の投資を経て維持してきた多くのCOBOL資産がある。これらを十分活用することが課題解決の鍵ではいだろうか。

 この際、進化したCOBOLの実態をぜひ触れてもらい、「古い・重い・オープンでない」というイメージを一新して頂きたい。そして、COBOLが21世紀に求められる斬新かつ強力な業務システムの構築に適していることを実感して頂きたいと思う。

(「日経ソフトウエアメールマガジン2月7日号」に掲載)