COBOLコンソーシアム利用技術分科会
福島 秀明 (富士通株式会社 アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部)
Webシステムの構築において、中心となる製品はアプリケーションサーバです。その機能は、ベンダーによって差があります。ここからは、ベンダーの製品を使い、J2EEからのCOBOLプログラム連携を実装するためのノウハウを解説します。
1.富士通
富士通では、アプリケーションサーバ「Interstage Application Server」を利用して、J2EE環境とCOBOLプログラムを連携します。
Interstage Application Serverで既存のCOBOLアプリケーションをWeb化するためには、まず、既存のCOBOLアプリケーションのプレゼンテーション部を代替する機能を、Servlet/JSPで再構築します。次に既存のCOBOLアプリケーションのビジネス・ロジック部をCOBOLのまま、Interstage Application Server配下のOLTPアプリケーションとして動作させます。両者は、CORBAのプロトコルであるIIOPで連携します。

Interstage Application Serverの特徴のひとつは、標準のCOBOLインタフェースを提供していることです。これによって、ラッピングのような操作を介することなく、ビジネス・ロジック部を直接COBOLで記述することが可能となり、既存COBOL資産の活用も容易になります。なお、Interstage Application Serverでは、OLTPアプリケーションとして動作するビジネス・ロジック部を「コンポーネントトランザクションアプリケーション」、その制御機構を「コンポーネントトランザクションサービス」と呼びます。
また、Interstage Application Serverでは、業務を構成する複数のアプリケーションを束ねて、「ワークユニット」と呼ぶ単位で統合管理します。ワークユニット単位で、業務システムの一括起動/停止、実行時の優先度制御、および同一ワークユニットの複数起動による負荷分散などを行うことで、管理負荷を軽減します。また、ワークユニット単位で完全に独立した資源管理を行うため、サーバ資源の競合が排除されるほか、あるアプリケーションでの異常が他のアプリケーションに影響しません。

なお、Interstage Application Server環境での開発には、「Interstage Studio」と「NetCOBOL開発パッケージ」が、運用には、「Interstage Application Server」と「NetCOBOLサーバ運用パッケージ」がそれぞれ必要です。
以下に、Interstage Studioを利用したWebアプリケーションの開発、運用の流れを説明します。

- ① Interstage Studioで、コンポーネントトランザクションアプリケーションのプロジェクトを新規作成し、生成ウイザードを利用して、インタフェース(IDLファイル)およびCOBOLプログラムのひな型を自動生成します。
- ② COBOLプログラムのひな型に処理を実装し、コンポーネントトランザクションアプリケーションライブラリ(DLL)を作成します。
- ③ 作成したコンポーネントトランザクションアプリケーションライブラリを、サーバ・アプリケーションとして、アプリケーションサーバに登録します。
- ④ プレゼンテーション部のプログラムを用意します。Interstage Studioで、Servlet/JSP用のプロジェクトを作成します。コンポーネントトランザクションアプリケーションと同様に、生成ウイザードを利用して、Servlet/JSPのひな型を自動生成します。
- ⑤ 使用するコンポーネントトランザクションアプリケーションのIDLをプロジェクトに追加し、呼出しインタフェースを実装します。
- ⑥ プロジェクトからプレゼンテーション部のプログラムを作成し、サーバに登録します。