お問い合わせ

ホーム > メールマガジン > 何のためにCOBOLを使うのだろう?

何のためにCOBOLを使うのだろう?

林 知之(東京システムハウス システムパッケージ事業部長)

 COBOLと言うと古臭い印象がある。しかし、開発以来40年も経つ今でもシステム開発の現場で数多く使われているのは何故だろうか?

 私がOpen COBOL(オープンシステム・プラットフォームのCOBOL)のビジネスを始めた95年当時、PCで基幹業務を行おうというユーザーはまだあまり多くなかった。しかし、そうしたいと思うユーザーは数多く居たのだろう。その後、Visual BasicやAccessなどを使って基幹系の業務をPC上で実現するユーザーが徐々に増加した。

 このように、メインフレームやオフコンといった従来のシステムとは別に、PCやUNIXなどのオープンシステムによるシステム構築を検討し、実際に多くのユーザーがチャレンジした。ところがこの2、3年、このようなユーザーがCOBOLに戻ってきている。それらのユーザーから理由を聞くと「簡単に作れたのは良いが、メンテナンスが出来ない」「簡単な変更でも、一から作り直しだという」「バージョンアップすると動かなくなる」「パッケージを導入したが、カスタマイズで結果的に高くついた」などの答えが返ってくる。では、何故COBOLなのかと聞くと「慣れ親しんでおり、トータル的に効率が良い」「業務を熟知したSEが豊富に居る」そしてやはり多いのは「安定していて信頼性が高い」だ。

 ただ、この現象は「単に以前の作り方に戻った」というわけではない。オープンシステムやインターネットのような新しいシステム基盤を有効に活用しよう、というチャレンジをユーザーがやめてしまったのではないからだ。Open COBOLもGUIの採用, RDBMSとの連携, Webとの接続などができるようになり、それがユーザーに認識されるようになったことが、大きな理由だろう。

 ユーザーは常にビジネスの拡大を考えている。そのための手段あるいは目的となるのが今の言葉で言う「e-ビジネス」であろう。COBOLに戻ったユーザーは、目指すe-ビジネスの実現がCOBOLで可能になったからだと言える。

 従来のビジネスを行うためのシステムは、既にCOBOLで存在している。このCOBOL資産を有効に活用して、e-ビジネスを実現し、事業の拡大を図る事がユーザーの本来の目的である。COBOLはビジネスを記述するために開発された言語である。ビジネスの効率化、拡大を図るためのシステムを作るのであれば、これからもCOBOLを使っていくのが自然なのではないだろうか。

(「日経ソフトウエアメールマガジン12月7日号」に掲載)