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私の意見:COBOLに対する日米の認識の違い

今城哲二(日立製作所ソフトウェア事業部マーケティング推進部長、
JIS COBOL改正原案作成委員会委員長)

 学会やコンピュータ雑誌などでのCOBOLの認識は、アメリカと日本で相当異なっているようだ。

 一昨年のことだが、OMG(CORBAやUMLなどのオブジェクト技術の世界的な標準化団体)の会長から、「アメリカの雑誌に、世界のプログラマ人口はCOBOLが300万人、Visual BASICが160万人、CとC++で110万人とでていた。COBOLがいまだに一番使われているので、CORBAでもCOBOLインターフェースを標準仕様に取り入れた」との話を聞いた。今年もアメリカの雑誌に、現在作成されているプログラム量は、COBOLが35%、Visual Basicが35%、その他が30%との記事が掲載されており、電気電子情報関係で世界最大の学会が今年春に発行した雑誌“IEEE Software”には70ページにわたってCOBOLの記事が特集されていた。アメリカでは情報処理の現場でのプログラム言語の使われかたの実態が一般に正しく認識されていると思われる。

 日本ではどうだろうか。我々システムベンダのCOBOLコンパイラのビジネス規模は他のプログラム言語と比べ圧倒的に大きい。COBOL使用を指定したSI受注案件も予想外に多く、特に公共関係では著しい。2000年問題で調査対象になったプログラムのほとんどがCOBOLだったということなどから、アメリカでの報道以上の割合で、日本ではCOBOLが使われているというのが実感である。

 しかし、学会やコンピュータ雑誌の認識は大違いである。大学の先生や学生に人気があり、30年以上続いているコンピュータ雑誌で著名な教授が“全くCOBOLは使われなくなった”というようなことを書いたり、今年の10月の情報処理学会40周年記念式典で元会長が“化石となったCOBOL”と祝辞の中で言及するなど、COBOLに対する誤解(現場の情報システムに対する無知)は学会では顕著である。これほどひどくないが、多くのコンピュータ雑誌でもCOBOLを話題として取り上げることはわずかであり、情報システム部門の方向づけする人々もCOBOLの将来に不安を持つ向きもでてきた。

 このような中で日経ソフトウエア11月号にCOBOLの記事が載り、他の雑誌にも“Javaの普及を妨げるCOBOL”の記事が載るなど、いくつかのコンピュータ雑誌で「COBOLが現場では相変わらずしぶとく使われている。この実態は無視できない」と認識されるようになってきた。我々システムベンダも、Javaなどの新技術・新動向のPRとくらべ、PCやUNIXのCOBOLが立派に存在しWebなどの新環境でも十分使えるとのPRを怠ってきたことを反省しており、「今後も業務用のプログラム言語としてCOBOLを使い続けて心配ない」とのメッセージをユーザに伝えるべく雑誌広告やセミナなどのマーケティング努力をするように変わりつつある。徐々にではあるが,国内のCOBOLに対する誤った認識は是正されつつあるようだ。

(「日経ソフトウエアメールマガジン11月7日号」に掲載)